マリンパル福興だより パート2 番外編

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*初めにお願い:副社長!女将さん!会社のブログを使って息子に手紙を書く職権乱用の従業員、保育士ミカをお許しください!*


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明日は、いよいよ中学校の卒業式ですね。心から「おめでとう」という言葉を贈ります。
息子、壮には、母子家庭という母一人子一人の生活をもう10年以上やってきて我慢ばかりさせてきてしまいました。小学校一年生の時から、一人で留守番は当たり前。10歳になった記念に教えたことが米を一人で洗ってご飯を炊いてお母さんを待つことでした。普段から「男の子は強くあれ」と剣道を習わせ、厳しく育てたつもりでしたが、さすがの私もあなたが中学1年生の時に体験した町を飲み込む大津波の際には、迎えに行ってやれなかったことをどれだけ後悔したかしれません。


大津波から4日目に副社長が気仙沼から歩いたり自転車に乗ったり、車をヒッチハイクして小学校に避難してたりかちゃんを連れて帰ってきました。その翌日、5日目に歌津まで壮を探しに歩いて行きました。歩く道のりの脇で青いビニールシートをかけられたご遺体に何度も出会いながら、廃墟と化した町を横切って、歌津中学校を目指しました。ようやくあなたに会えて生存を確認したとき、どれほど安堵したことか。自宅がなくなり、実家もなくなったという話を聞いたので、自宅には戻らず、壮には「まだ、家に帰れない子どもがマリンパルに残っているからもう少しだけ、中学校にいてほしい」と頼みました。周囲のお母さんたちには「この不安な中、まだ子どもを置き去りにしようというの?」と言われましたが、壮が「大丈夫だよ、おれなら、友達もいるし、ここで待っているから行っていいよ」と言ってくれ、校長先生が「お母さんも辛いでしょうけど、わかりました。なるべく早く迎えに来てあげてくださいね」と言ってくださったので、奥歯をかみしめて背中を向けました。


3月16日壮は、親の迎えがないまま13歳の誕生日を迎えました。もののない時期でしたが、ようやく届いた自衛隊さんからのパンの中にシフォンケーキを見つけ、こっそり歌津行の運搬車に頼み息子のところに届くようにお願いしました。「あんなちっちゃなケーキ、どうしろっていうんだよ!」と壮には、後日叱られたけど、体育館の真っ暗な避難所の片隅でみんなに誕生日を祝福してもらって、みんなでひとつまみずつ分けて食べたケーキがとてもおいしかったと言われました。壮を迎えに行ったのは、それからも数日たった震災から10日目のことでした。


女将さんに「美香先生、いい加減、壮君のこと迎えに行ってきて!」と肩をたたいてもらったからです。歩いてまた歌津中学校まで行って、二人で歩いてホテル観洋に到着しました。ホテルに残っていた従業員がみんな「壮くん、お帰り!」と声をかけてくれたとき、声を出して泣いてしまいました。壮は、見違えるほど痩せてしまい、ラウンジにいる久美子ちゃんにGパンをもらってはかせたけど、それでもぶかぶかで、ひとみ先生が丹前のひもをベルト代わりにして縛ってくれました。そんな壮をみて、副社長が「御飯いっぱい食べさせてやって!」と調理場のみんなに声をかけてくれて壮は、息をするのも忘れたようにご飯をもりもり食べました。

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「避難所でね、おにぎりがはじめて配布されたとき、まず、お年寄りから。次は、小学生以下の子供たち。中学生以上は、ちょっと我慢して!って言われて、もらえなかったんだ。1週間くらい御飯がもらえるのは一日1回だけ。あとは、ウィダー(エネルギーゼリー)か、味のない乾パンが2枚。御飯を水で薄めておかゆってこともあったよ。ごくごく飲んだら終わりだった」と話され、中学1年生とはいえ、13歳になったばかりの壮の頑張ってきたことが胸を打ちました。

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壮は、ホテルに残って働いていた従業員のみんなにとてもかわいがってもらい、髪を切ってもらったり、一緒にお風呂に入れてもらいながら、仮設住宅に当選するまでの実に4か月もの間、ホテルに居候をさせてもらい、ホテルのみんなに育ててもらい、ホテルから歌津中学校に通い続けました。(2年前のブログの中に壮がいますから探してくださいね)


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志津川中学校に転校するという案もありましたが、壮自身が、歌津中学校の友達と離れたくないというので、登下校には支障がありましたが、歌津中学校の校長先生はじめ先生方のご配慮のおかげで、なんとか行き通すことができました。


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たくさんの全国の皆様のご支援のおかげで、明日、無事、歌津中学校を卒業し、4月から志津川高校に行きます。いろいろなことがありましたが、壮がいてくれたから、私も頑張ることができました。今まで、我慢ばかりさせてしまったので、高校に行ったら、のびのびとやりたいことをやらせてあげたいと思っています。


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みなさま、本当にありがとうございました。
壮、卒業おめでとう!自分一人で大きくなったと思ってはいけないよ。副社長や女将さん、マリンパルの先生たちやホテルのみんな、それに全国のご支援を頂いた皆さんに「ありがとう」の感謝の気持ちは、一生涯胸に刻んで、命を大事に生き抜いていかなきゃいけない。お母さんは、壮がいるから頑張れるんだよ。これからもずっとずっとよろしくね。

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このページは、総務課が2013年3月 8日 22:34に書いたブログ記事です。

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